国際結婚…憧れる方も大勢いらっしゃいますよね。「海外の大きなお家で、素敵な外国人の旦那さんと、目も髪もクリクリの子供に愛されて幸せな日々…まるで映画のような日々を送れそう♡」
夢を壊してしまいますが、実際はそんなに甘い事ばかりではありません。
国際結婚は日本人パートナーとの結婚よりも、越えなければならない壁が幾多にも待ち受けています。そしてその壁を乗り越えれば「普通の結婚」とは全く違う、本当に素晴らしい日々が待っています!
今日は実体験しないと分からない国際結婚のアレコレを、実際に外国人パートナーと7年連れ添って来た筆者がご紹介したいと思います。
国際結婚に至るまでに「絶対に越えなければならない7つの壁」というものがあります。
この壁を乗り越えるには、相手に対する思いやりと譲り合い、「当たり前」という概念を完全に断ち切ることが一番重要です。
貴方が少しでも無理と思うならば、筆者は国際結婚をオススメしません。
絶対にいい結婚生活にはならないと思うからです。でもね、この壁を乗り越えたら…。
いくつもの苦労を共に乗り越えてきた、最高に素敵な夫婦になることも出来て、更に貴方自身がとても強く逞しくなります。
この壁を完全に乗り越えるには、相当な努力と年数が必要。どちらかが相手の母国語を完璧に話せても「細かな感情や複雑な事を100%理解し合う」のはとても難しいことです。
筆者はパートナーと連れ添って7年、移住をして4年の月日が経ちました。何の問題もなく日常会話が成り立ったのは移住して子供を産んでから。
彼の母国語なんて出会う日まで勉強したこともなく、お付き合いし始めた当初は辞書を片手に大喧嘩、身振り手振りとジェスチャーで意思疎通をしていた時期もありました。まだまだ勉強不足で、未だに意思疎通が難しいテーマなどもありますが。笑
また、日本人特有の「相手の思っていることを感じ取って行動に移す」という事は、外国人のパートナーとはありえません。ストレートに直接物を言わないと理解してもらえない事が多く、逆にパートナーから驚くほどストレートな物の言い方をされて驚くこともしばしば…。
何かして欲しい事や思ったことがあるならば、声に出して言わない限り通じ合えません。相手から何かストレートに言われてその度に落ち込んでいては、精神的に参ってしまいます。折れない心と図太さを兼ね備えて、やっと張り合える…といったイメージです。
日本人同士だと絶対に必要のない「言葉の壁」はかなり高く、乗り越えるには努力・忍耐・年月が必要になります。貴方はその覚悟ができていますか?
日本人同士でも物事の考え方が合致する人って、なかなかいませんよね。
まして生まれた国や育った環境が全く違う外国人と、考え方を完全に合致させることの方が不可能です。
男尊女卑の宗教・国の考え方で育った人に「女性を敬れ」と言っても絶対に無理なことだし、母親を本当に大切にするように教育された人に「姑ではなく自分を優先しろ」と言っても無理あるでしょう?また逆もしかり、感情を表に出さないことが大人と教育されてきた私たちに「これからは誰が相手でも思ったことをその場で直接言え」と言っても難しいですよね。
「私の悩みすら分かってもらえない」ではなく、「分かってあげたくても、分かってあげられない」事が沢山あります。
貴方は根本的な考え方や環境の違いを受け入れ、「仕方ないか~」と軽く受け流す事ができますか?
これは壁と言っても国や人によって違うので、大きな壁ではない人もいらっしゃるかもしれません。
私たち日本人が大好きなお刺身や納豆を受け入れられない外国人がいるように、パートナーの母国料理を100%好んで食べられるという保証はありません。
私たちはお米を主食にしますが、パスタやパンが主食の国に住むことになればそれを主に食べなくてはいけません。宗教によって豚肉を食べてはいけない人や、牛肉を食べてはいけない人だっているし、逆に食用虫をガツガツ食べる国の人だっています。
お互いが食べられるものを積極的に探す努力や工夫を、貴方は前向きにできますか?
私たち日本人の金銭感覚と、外国人パートナーとの金銭感覚は全く違います。
これはパートナーの国籍によって経済状況も異なるのでケースバイケースですが、絶対的に言えるのは一般的な日本人の金銭感覚は高すぎるという事。日本では職や年齢にもよりますが、月収25万円~が平均値ですよね。でも海外では月収数万円の国がはるかに多いのが実状です。
実際筆者が住んでいるのは先進国ではないけれども、G20に入っているアルゼンチン。この国の平均月収は約8万円で、近年ではインフレの影響もあり国公立の教師の月収は6万円以下が現状…私たち日本人からする“たかだか数万円”は、外国人からすると私たちの“うん十万円”の感覚になることだってあります。
こんなにも金銭感覚が違うのに「可愛い服を見つけて衝動買いして数万円使った」貴方をに愚痴を言うパートナーだっているでしょう。「ケチなパートナー」ではなく、もしかしたらその数万円があれば相手の国では一家が数週間食べられるのかもしれません。
「日本ではこれが当たり前」という概念を捨て、相手の立場に立って広い視野でパートナーと金銭感覚をすり合わせること、貴方にはできますか?
これは特に”彼氏が外国人”の場合ですが、仕事の壁というものがあります。
日本の社会人の認識として「福利厚生のしっかりとした大手企業の正社員」が一番の理想…そこまではいかなくても結婚相手の男性は自営業でない限り、正社員で安定して働くことが絶対条件。そんな日本特有の概念は、国際結婚では断ち切る必要があります。
日本で外国人が正社員として雇用されることなんて、ほんの数パーセント。相当なエリートか何かのプロ…更に日本語の読み書きが完璧でない限り正社員雇用はありえません。実状はアルバイト・契約社員・日雇いで生計を立てている外国人がほとんどです。しっかりとした職を持たないパートナーが無職になることだって普通にあります。
そんな時に明るくパートナーと家計を一人で支える事、貴方にはできますか?
私たち日本人はほぼ無教と言っても過言ではない程、仏教ベースの神仏混合。
中には信心深い方もいらっしゃると思いますが、ほとんどの方は神様仏様はお正月やお祭り等の季節のイベントにのみ登場、冠婚葬祭で家の宗派を守る程度だと思います。
外国人と結婚すると、必然的に相手の宗教が深く関わってきます。
世界で一番宗徒の多いキリスト教も幾つかの宗派があり、考え方だって全く違います。キリスト教や仏教の他にも、世界には悪魔崇拝をする宗教だってあるし、21世紀の現代でも女性を”男性の所有物”として捉える宗教だってあります。
私たち日本人にはあまりピンとこない宗教は、外国人のパートナーにとってはとても真剣なもの。
お正月に神社参りをして、お葬式は仏式、結婚式はドレスでキリスト様の前で…が普通の私たち日本人とは、根本から概念が異なります。
「外国人と結婚をする」という時に、ほとんどの親御さんが猛烈に反対されます。
長期間海外に住んでいて現地の方と結婚するという場合は少々話が変わってきてしまいますが、日本で知り合った場合はほとんどの親御さんが反対されると思います。
筆者の実家は激しくオープンマインドな事、また私の糸の切れたような生活態度がパートナーと出会ったことで良い方向に激変したことから、反対はされましたが徹底的ではなかったのでほぼ押し切りました。筆者のようにトントンと進むケースはとても珍しく、中には両親の大反対を押し切り、家出までして国際結婚を押し切ったカップルも沢山います。
貴方はキッチリと親を説得し、自分の気持ちを貫き通せますか?
意外と思われる方も多いと思いますが、友人・知人との壁は結構高い壁。
周りは自分の幸せや将来のことを心配してくれているのですが、全く悪気なく、グサグサとネガティブな言葉を浴びせかけてきます。
「彼、仕事は?」「経済的にやってけるの?」「え、大丈夫?」「うわ~私には無理だわ~」…私はほとんどの友人にこう言われたのを覚えています。実際「いいじゃない、国際結婚!がんばって!」なんて言われることは皆無でした。
特に親しい友人からネガティブなコメントを言われると「本当に大丈夫かな…」なんて不安になってしまいます。
国際結婚をする上で本当に重要なのは自分を信じて周りの意見をシャットアウトすること!
パートナーと恋愛・結婚をするのは貴方であって、貴方の友人ではありません。
貴方は自分の気持ちを貫き続け、友人・知人からのネガティブコメントに耐えられますか?
さて、実はここからが本番です。7つの壁は越えられても、国際結婚にはそれだけでは収まりません。
国際結婚をして共に生活をしていく上で、絶対にしなければならない3つの覚悟というものがあります。
ケースバイケースで相手の国にもよる内容ですが、なるほどと思える現実的な内容ばかり…国際結婚に対して尻込みしてしまいそうになりますが、これが現実です。
この覚悟をしていないと、結婚後の生活でトラブルの元になりますよ!
国際結婚をして、パートナーと日本を拠点として生活を始めたとします。
先ほどご紹介した【1-5.仕事の壁】の中でも少しご紹介しましたが、日本で外国人が安定した職に就くという事がどんなに難しい事か…。安定ない収入のパートナーが職を失った時、貴方は養う自信や意気込みがありますか?
戸籍だって日本人である貴方が筆頭主になります。家を借りる時だって、ローンを組む時だって、全て貴方の名義で申請することになります。また相手のビザ等も完璧にしていないと、パートナーが不法滞在で捕まることだってあります。
結婚をしてビザの申請をしても、ビザが発行されるまでパートナーは働けません。中には数週間~数か月ビザの発行までかかるケースだって実際にあります。
貴方はパートナーとの生活を、一家の大黒柱となって支える覚悟はできていますか?
海外では頼れる人はパートナーしかいません。身内は勿論気のおける友人もいない海外では、相手に自分の全てを託して、慣れるまではとても孤独な生活をすることになります。
これら全てを絶対に経験します。貴方は本当に耐えられますか?
その他にも、言葉の通じない国で生活必需品を買う事だって慣れるまでは本当に大変です。たかだか買い物と言えども、言葉が話せない場所では、実体験版のサバイバルゲームと化します。
買い物の仕方も全然違うし、調理法も調味料だって違います。筆者がアルゼンチンに移住をして一番困ったのはこの問題で、普通に買い物を済ませられるようになったのは移住してから1年以上先の事でした。
たかが買い物で、数えきれないほどの壁にぶち当たりました。
過去にはインターネットと電話回線が故障して修理に2か月もかかり、連絡が取れない娘を案じた母が日本大使館に連絡をし、安否確認をされ大騒ぎをしたこともありました。予告なしに停電することや断水する事だってあります。少し前には自宅のマンションの地下の送電機が壊れ、家の半分の家電がショートしてただの鉄くずになりました。
…かなり筆者の愚痴が入ってしまいましたが、日本では絶対にあり得ないことが、海外では起こります。
貴方はパートナーの国に住む事になった時、孤独に耐えて、慣れない海外生活を“刺激に満ちた実体験のサバイバルゲーム”と心得て楽しんでこなすことができますか?
日本で出産をして夫婦仲良く過ごしている時は良いですが、万一離婚をする事になった時。
離婚届に判を押してしまうとパートナーのビザは数年で失効します。職場等でビザを申請してくれるのであればいいですが、ビザを手に入れられなくなったパートナーは嫌でも自国に帰らなければなりません。
元パートナーが自国に帰るという事は、自分の子供を気軽に父親(母親)に会わせてあげられなくなるという事です。
反対にパートナーが子供を連れて自国に帰ってしまうと、自分の子供に会いたくても会えません。
海外で出産をした場合もまたしかり、日本で出産して離婚をする時と同じことが起こります。ただ、日本とは違い子供がいれば住むことが許される国が多いので海を挟んで親子離れ離れにはなりませんが、頼る人もなく一人でその国で生活をする事になります。
その他、海外で産むともれなく付いてくる責任もあります。
国によりますが、特にアメリカ諸国は「出生地主義」の国がほとんどです。
強制軍事が課せられる出生地主義の国で子供を生んだら、対象年齢になると軍隊に強制加入しなくてはならず、最悪戦地にわが子が出向することだって考えられます。
また海外でパートナーに耐え切れず、日本でよくある「実家に帰らせて頂きます」の勢いで子供を連れて黙って日本に帰ると…相手の任意を得ていないので子供の誘拐罪に問われ、国際手配をされた上に捕まります。その場合子供は強制帰国、最悪が収監されてしまうこともあります。
国際結婚をして子供を持つという事は、万一離婚をしなければならなくなった時のリスクが沢山あります。
貴方は本当に覚悟ができていますか?
ここまで、国際結婚をする上でとても現実的でネガティブな事をズラリと並べてしまいました。
越えなきゃいけない壁や、覚悟をしないといけないことは沢山ありますが…それ以上に国際結婚では、普通の結婚と全く違った喜びや楽しさがあります。ここでは国際結婚をして本当によかったと思う事をご紹介したいと思います。
国籍にもよりますが、日本人と普通の結婚生活をするよりも絶対的に激甘だと思います。
筆者は日本人と結婚をした体験がないので確証はありませんが、日本人のパートナーと結婚生活をするよりも絶対的に甘い日々、そしてとても絆が深い家族になれると思います。
幾多の壁を一緒に乗り越えたからこそ深まる絆は、日本人のパートナーとは比べ物になりません。そして基本的に「家族が第一」の考え方の方が多いので基本週末は家族で団らん、パートナーの職場のしがらみを気にする必要もありません。
「家族があるからこそ仕事をする」と捉える外国人と、「仕事があるからこそ家族がある」という日本人の考え方にはとても大きな違いがあります。
日本人同士の結婚をしていれば絶対に見ることができなかった世界を、体験することができます。
パートナーの国に住むことは苦労もとても多いですが、目線を変えると「慣れてしまえばいい」だけの事。日常会話ができるようになれば生活に何の不自由もしないし、毎日が異文化交流です。
日本の文化を世界に広める仕事ができたり、日本では想像もしなかった自分の未知なる才能に気付いたり、新しい趣味が出来ることも。
実際に筆者は日本にいた時は一般的なOLという職をしたことがなくPCという物が本当に苦手でしたが、今ではPCを使い、ライターとしてこの記事のようにオリジナル情報を発信する事ができています。
また外国人目線で日本を客観的に見ることが出来るので、日本という国がどんなに素晴らしい国であるかという再認識、そして日本人として生まれたことがどんなにラッキーな事であるかを痛感できます。
金銭感覚の違いで喧嘩をすることもありますが、その反面とても大きなメリットでもあります。
日本に拠点を置く方はたったの数万円でパートナーの親に十分な仕送りをしてあげられるし、海外に住めば生活費があり得ないほど安くなります。日本で数百万円では家を建てられませんが、国によっては数百万円でメイドとプール付きの豪邸が建てられます。
一番大きな言葉の壁ですが、ある程度越えてしまえば一生の財産になってくれます。
外国語を習得しようとすると日本でスクールに通って資格を取り、それを一つの職とするまで一体どれだけの年月が必要でしょうか?
毎日慣れ親しんでいつの間にか身に付く“外国語”が、翻訳者や現地ガイドのように一生の武器として使えるようになることも十分あり得ます。
日本で日本人に囲まれて生活していても、日本人の友達しか増えません。
外国人のパートナーと共に生活をし言葉を少し習得するだけで、いつの間にやら自分の環境がとんでもなくグローバルになっています。
メキシコ人の友達の家で本物のタコスパーティーをする、スペイン人の友達の家で本気のパエリアを食べる、イタリア人の友達から手作りピザの作り方を教えてもらう…ワールドカップなんて始まったら各国代表サポーターが家に集まりどんちゃん騒ぎ…確実に世界が広がります。
外国人のパートナーと国際結婚をする事は、想像以上に苦労の連続です。
「しなくても良い苦労をしている…」と周りにネガティブな言い方をされても、右から左に受け流せばいいんです。
日本人のパートナーと平穏で変化のない安定した生活をし、慣れた仕事をする…そんな安定した生活も勿論素敵ですが、少なくとも筆者は絶対に耐えられません。
苦労と捉えず”成長する格好のチャンス”と受け止め、一つづつ経験をコンプしていくゲームと思えば…相当刺激的で飽きることのない生活を送ることができますよ☆
このように、ネガティブ要素を逆手にとれば国際結婚の壁は全てポジティブに持って行く事ができます。
筆者も実際こんな風にポジティブに考えられるようになるまで、何度も悩んで落ち込んでいました。
国際結婚の一通りの壁を乗り越えた今では、母に「チャレンジャー」と呼ばれ、苦労体験を笑いのネタにできる程タフになっています。
海外で孤独でも、国際結婚をして子供を持つことでリスクがあることを含めても、そんなのどうでも良くなるほど可愛いベビーが誕生します。
「この子を悲しませることはしたくない」と思えば、不思議と夫婦も更に仲良くなるのではないでしょうか。少なくとも筆者は子供が生まれてから、孤独と思ったことは一度もありません。
この記事を読んだ国際結婚をする(したい)皆さんに絶対に幸せになって頂きたいからこそ、あえて現実的な事や厳しい事を辛口に書きました。「こんなはずじゃなかった」と思う前に予習をしておくと、意外とすんなり乗り越えられる壁も中にはあります。
言葉や文化が違うからこそ一番大切なのは「思いやり」と「譲り合い」、ネガティブ要素だって考え方によってはポジティブ要素に持って行く事ができます。日本人同士では越える必要のない幾多の難関を共に歩むからこそ、かけがえのない絆が生まれます。
この記事が、貴方と外国人パートナーの最高にハッピーな日々への懸け橋になれば、筆者は本当に嬉しいです。